4.1999/8/9〜11ーーーーー瀬戸内海無人島

やっぱり夢は無人島でしょう。誰も居ない島でサバイバル!ついに実現の日がやってきた!夏だ野宿だ!というわけで半年の準備をへてやってきました愛知県。先に出た隊長と和歌山県で合流するために、Y隊員と私は車で東名を飛ばしてきました。渥美半島先端から出ているフェリーで紀伊半島に渡ったおかげで、御盆渋滞にはまらずにすんだ。夏休みで誰もいない中学校の前の公園にこっそりテントを張らせていただき、この日は2人だけど野宿となりました。さすが田舎だけあって人は親切です。そばのキャンプ場の人が夜に様子を見に来てくれました。雨が降っていたのでテント内で食事。(サバカレーなる缶詰、煮卵、ゲソ揚げなど適当にすませた)汗が滝のように出る。ふと見るとそばに屋根付きの広場があり、そこで食べればよかったと後悔したが遅い。興奮ぎみに寝付く。次の日は隊長と合流だ。フェリーで時間短縮が功をそうし、時間がたっぷりあったので、港で釣りをしたり昼御飯をつくったりしながらまったりとすごす。何もやらない時間って贅沢だ。静かな漁村で店もない。和歌山県の川湯温泉で隊長と会えました。なんか妙にうれしい。たっぷり一人でツーリングしてきた隊長も満足げな顔。この温泉は川を掘るとお湯が出てくる。皆で水着になって穴をほり、寝そべる。泥水だけど暖かくって心地よい。

夜になってからとある林道に入り、テントを張る。マヂソン郡の橋のような古い鉄の橋はさびていて風情がある。夏の緑のなかに妙に浮き出ている。朝になって見ると結構山深い。東京近郊とちがって野宿場所には困らない。少し奥に入るといい場所がたくさんあるのだ。

今日はフェリーに乗っていよいよ四国入りだ。天気もいい。168号線を北上して24号に。十津川沿いに深い山が切り立っている。滝も見えた。和歌山の港から南海フェリーで徳島へ。キャンセル待ちのため釣りをするが釣れず。2時間で徳島に移動する。付いてからわかったのだが、阿波踊り初日である事が判明。だからすごい人だったんだ。どうせだから見ようということになり、市内の駐車場に車をとめて夜の踊り天国にくり出した。盆踊りのように1箇所で踊っているわけじゃなく、いろいろなチームがいろいろな場所で踊っているのだ。大きな祭りがあるところは犯罪とか少ないかもね。皆発散しまくっている。連によっていなせな着物もちがってる。かっこいいね。

眉山ロープーウェイで夜景を見る。屋台の食べ物を買い食いしながらそぞろ歩いていると、よさげな銭湯を発見。新町温泉という。この日は近くの小松島港のすみにテントを張ることに。

朝起きると釣り人にテントの周りを囲まれていてびっくり。起きると2人ともいないし。近くの食堂に行って朝飯してたらしい。いよいよ無人島にむけて出発なのだ。徳島の最東端、蒲生田岬に向けて走る途中、小さな美しい漁村を通る。時間がとまってしまったみたいだ。箱庭みたいな小さな港だ。椿泊という漁村にて、無人島「舞子島」に渡してくれる船を探すことに。
勝丸という船を漁協に紹介され、交渉後さっそく3人で乗船。勝丸のおやじさんは何も言わずに島に船を近ずけようとするが、瀬戸内海の内海とは思えないほどの波の荒さ。船を寄せることもできないし、見たところテントを張るスペースもない。最初無理そうな事を言っていたが、私達の不満そうな顔をみて、実際を見せてくれたようだ。帰りスイカを御馳走になり、船のお金もガスリン代にもならないぐらいしか受け取ってくれなかった。漁師のおやじさん然としててかっこよかったな。感謝です!少々船酔いした私はスイカですっかり御機嫌になりました。おじさんに教えてもらった蒲生田岬の野宿場にて1泊して、無人島上陸を再度検討することに。でもここの岬の美しさったら!私達だけしかいない、海を見るためだけの、劇場みたいな入り江なんです。

後ろは山だし。前は海だし。今日は無人島に渡れなかったけど、ここに来れたことで最高だった。山の上の灯台に登ると、虹が2つもかかっているではないか!夜は星が降る程に輝いている!人間が作った何よりも自然は楽しいし美しい。デズニーランド100個よりも楽しいし美しい。私の釣ったカワハギ、ベラを料理して、じゃがいもの味噌汁、ハッシュドビーフポテトサラダと豪勢に晩御飯をほうばる3人であった。幸せ。

次の日、香川県側からアプローチ再開ってことで、高松市の庵治町という港町に着く。漁師らしい男の人に声をかけて、話してみるけど女だけじゃ危ないとかで尻込みされてしまった。そこにおばさん登場。話を聞いてると急に「私の知り合いに頼んであげるよ。心配ないよ」やっぱ女同士は話が早い!まあ乗せていって何かあったら大変だもの。責任とかなんとかゆう話になるでしょう。都会だったら確実にね。でも田舎は人と人の繋がりが濃いのか、おおらかだから、受け止めてくれたんだろう。私達の熱意が通じてよかったよ。迷惑にならないように気をつけて過ごそう。急いで水やら食料3拍4日分を買い込み、若い漁師さん2人に「兜島」というれっきとした無人島につれていってもらったのです。天気が荒れだしたらすぐに迎えに来るからというやさしいお言葉。3日後忘れずに迎えに来てくれるのかなあ、と、急に彼等の帰る姿を見て思う3人であった。まあ瀬戸内海の無人島なので、本島は目で見えるし、自家用船で日帰りで来る地元の人たちも日中はいるので、サバイバルな感じはないんであるが、夜はれっきとした無人島なのである!鼻の穴を膨らませて、わしらの無人島生活はこうして始まった。

その無人島は香川県、兜島。島の前にはしょっちゅう船は通るし、漁師も通る。昼間はバナナボートも浮かんでいる!しかしここは無人島。れっきとした無人島!小さな船であっというまに到着!砂浜は思ったより奥行きがない。満潮になったらぎりぎりまで水がきてしまいそうなので、けっこう草がぼうぼうの場所まで
入ってテント設営。隊長は奥の洞窟のような穴に設営。さすがに隊長はワイルドである。わしら2人はそのじめっとした穴にはどうしても入れない。そこに張るように強く言われ、しばし膠着状態に。隊長はこういったことには頑固である。しかし周りを見ると実にゴミだらけではないか!たまらなくなってゴミを拾ってテント回りだけでも綺麗にする。ひろっても捨てる場所がないから1ケ所にまとめるだけだけど。

日ざしを避けるためにミニタープを張り、流木を拾ってきて鍋をかけたりしてキッチンらしきものをこしらえる。楽しくなってきた!子供みたくはしゃぐ3人。良く見ると砂は白いし水も綺麗だ。ブヨ対策でもってきたネットをかぶって肌を露出しないようにする。

食料をならべて、日にち別に分ける。クーラーボックスの氷りはそうもたないので、腐りやすいものは買えなかった。レトルト中心だけれど、もうこれしかないと思うと、実に御馳走に見えるではないか。水も無駄にはできない。

ふと見ると一隻の漁船が近ずいて来る。良く見るとここまで連れてきてくれた漁師のおにいさん!ニベというイシモチに似た30センチぐらいの大きさの魚を4匹ほおりなげてくれた!「煮るても焼いても刺身にしてもうまいよ!」それだけ言って去っていった。なんてかっこいいんだ!そのニベオンパレードの夕食はとてつもなく豪華だった。ただ味噌汁だけはY隊員の不注意によって、砂に飲まさせてしまったが。。。。卵3個もろともに。。

最初の夜は満潮がどこまで来るかわからないということで、夜中まで見張ることに。砂浜に寝そべって流星を見ながら。深夜一時ごろまで見張っていたが、眠くなってきたので各自テントに入る。しかしザ゙〜〜という波の大きな音がするたびに起きてチェック。ふと見るとけっこうそばまで大きなタンカーが通りすぎて行くではないか。そのでいで大波が来ていたようだ。水位を把握したのでやっと就寝。

しかしのどが乾くのだ。小さなタープの下しか日陰がないので。かろうじて冷たいオレンジジュースなんてものは、甘露以外のものではない!ダイヤモンドより価値がある。1本しかないポンジュースを、自分だけ飲んではイカン!と思いつつも、口にすると後ろめたくもグビグビやってしまう!

この島、夏休みということもあってけっこう船で日中遊びに来る人達がいるんだけれど、あるファミリーが帰るときに氷りを捨てていったのだ。それを見た私達はそれを拾いすかさずクーラーにしまった。なさけないけど、温いミカンのカンズメと冷たいのとどっちがいい?てなるとね。イソメも捨てていってくれたので、それでキス釣ったしね。ゴミぐらい持ち帰れって思ったけど、この2つは許す。冷たいものってゆーのは文明そのものなんですね。無ければ無いで慣れるんでしょうが。

朝御飯はベーコンエッグとパン、ヨーグルト。
隊長は落ちている網をひろって袋を作っている。カニを捕ろうとしている。砂浜なのでカニらしき姿は見当たらない。しかし暑い。残り少ないかろうじて冷えた飲み物はどんどん減っていく。海に入ったりゴロゴロしたり島の探検をたりする。とこぶしを採って茹でて食べる。大雨がスコールのように降ってきた!自然のシャワーだ!

白い砂浜にすわって雨をながめていた。すると地面が何か動いている。よーーーく見ると、それは雨でいっせいに穴から出てきた虫だった!実に気色悪い!

落ちている枝を拾い集めて、焚き火をする。すごい量なのでいくらでも燃やせる。こんなことをしていたら社会に戻れそうにない。10時には就寝。3泊目の朝、天気が悪くなるぞーーと漁師さんから連絡が入る。午後の予定だったが早めに迎えにきてくれるみたいだ。忘れられてなくてよかったねーー。しかしおもしろい日々だった。

吉野川に向かって海岸線ぞいに進む。アユ釣りをしている人たちをみながら、河川敷での野宿場所をさがす。見渡す限りの広い草原。車を入れてのんびりとテントをたてる。アリもいない。けっこう土もやわらかいではないか。この時点で我らはとてつもないミスをおかしているのは誰も気が着いていないのでした。夕方地元のおじさんが、ここは危ないから移動するように言われるが、自分達にはピンとこない。こんなところまで水が来るわけないし。でも地元の人の言うことは聞こうということになって、一段高い道のような場所に引っ越す。内心ぶつぶつ言いながら。

その夜大雨は来た!サイレンの音がけたたましく河の危険を知らせている。ここも危ないんじゃあないのお?なんて恐怖が頭をもたげる。あまり眠れない夜をすごし、明るくなってテントから出てびっくり!一面の水!水!水!昨日いたところは河のど真ん中って感じなのだ!どうりでアリがいなかった!虫は水が来る場所にみすみす巣などを作らないのだ!恐るべし野生!

たっぷんたっぷんになった河をみながら、天気予報を聞かなかった自分らは反省しきり。そのころ関東でも中洲でキャンプをしていた人たちが警告を無視して亡くなっていたらしい。帰ってから友だちに心配してたんだよおと言われる。でも自分達は地元のおじさんの親切な言葉に耳を貸したのが運命の分かれ道。ありがとうおじさん!河でのキャンプはきをつけるべし。

沈下橋をわたって再び徳島に向かう。四国八十八ケ所めぐりの一番札所、霊山寺により、小和田港でアジを釣ることに。

フェリー乗り場で泊まることにし、大漁だったアジをつつきながら最後の夜はふけていった。